
オンラインカジノを海外でやる場合、どの国の規制やライセンスを基準にすべきかは非常に重要です。
なかでもフィリピンは、政府機関PAGCORがオンラインカジノを管理する数少ない国として注目されています。
- フィリピンでオンラインカジノが発展した理由
- 政府(PAGCOR)の対応と最新の規制動向
- 「全面禁止論」 vs 「産業維持」
- 現地政治家・政府関係者の発言内容
オンラインカジノを海外でやる際にフィリピンが注目される理由
PAGCOR体制の特徴と収益性、そして依存症対策の行方
フィリピンのオンラインカジノ業界は、世界的に見ても珍しい「国家主導型」の管理体制を取ってきました。
中心となるのは、政府系機関である PAGCOR(パグコー:Philippine Amusement and Gaming Corporation) です。

PAGCORは単なる規制当局ではなく、オンラインカジノおよびeゲーム産業を国家収益の柱の一つとして
位置付けてきた点が大きな特徴です。
近年、POGO(ポゴ:海外向けオンラインギャンブル)を巡る問題から規制強化や禁止措置が進む一方で、「オンラインカジノの収益自体は無視できない」という声も、国会議員や政策決定層から繰り返し上がっています。
フィリピンのPAGCORライセンスは他国と何が違うのか
海外ライセンスのオンラインカジノを選ぶ際、
PAGCORライセンスは、マルタ(MGA)やキュラソーと並び比較対象に挙げられることが多い存在です。
| 項目 | PAGCOR(フィリピン) | マルタ(MGA) | キュラソー |
|---|---|---|---|
| 管理主体 | 国家機関 | 独立規制当局 | 半政府機関 |
| 国家財政との関係 | 直接収益化 | 税収中心 | ライセンス料中心 |
| 規制水準 | 中〜高(年々強化) | 高 | 低〜中 |
| 評価 | 中 | 高 | 中 |
PAGCOR最大の特徴は、オンカジが国家財政と直結している点。
多くの国では、規制と収益は切り離されているのですが、
フィリピンではオンカジが「国家管理下の収益産業」として扱われているのは世界的にみても稀なケースです。
「オンカジ収益は無視できない」国会での現実的な発言
POGO問題が社会問題化する中でも、フィリピン国会では
「オンラインカジノ関連収入は国家として重要」
「全面排除は現実的ではない」
といった、フィリピン政府のオンラインカジノ政策に関する現実的な発言が相次いでいます。
背景には、オンカジ収益が以下の分野を支えてきた事実があります。
- 社会福祉予算
- 医療・教育関連支出
- 国家インフラ投資
単なるギャンブル産業ではなく、国家運営に組み込まれた収益源として認識されている点は見逃せませんよね。
フィリピンオンカジの性格は変わりつつある
フィリピンのオンラインカジノは、もともと海外プレイヤーから外貨を獲得する産業として発展してきました。
しかしPOGO規制強化以降、国内向けeGames市場の比重も高まりつつあるのです。
フィリピン政府のスタンスは、
「国民向けオンカジはできれば縮小・管理したい」
「でも収益は手放したくない」
「だったら国営(PAGCOR)直轄+規制強化にしてしまえ!」
…という、かなり現実的で矛盾を抱えた方針です。
しかし、どこに矛盾を抱えない政治があると言うのでしょう?
外貨獲得産業として始まったオンラインカジノは、
POGO排除後、国内向けeGamesへと比重を移しつつあり、
国家としては「完全な国内消費型ギャンブル」にはしないための管理強化を進めています。
オンラインカジノがもたらした国家収益
PAGCORおよびeゲーム関連事業による収益規模は、近年拡大傾向にあります。
| 年度 | オンカジ・eゲーム関連収益(概算) |
|---|---|
| 2019年 | 約600億フィリピンペソ |
| 2020年 | 約500億フィリピンペソ |
| 2022年 | 約700億フィリピンペソ |
| 2023年 | 約800億フィリピンペソ超 |
この数字からも、オンラインカジノがフィリピン経済に与える影響は無視できないことが分かります。
Reutersによると、フィリピンのギャンブル産業全体の収益規模は2024年末の時点で、ギャンブル産業全体だけで約60億アメリカドル(約3,300億フィリピンペソ相当)に達する見通しと報じられました。
一方、PAGCORが管轄するオンラインカジノおよびeゲーム分野の収益は、年間数百億ペソ規模とされていて、そのスピードは止まる様子がありません。
参考:Philippine gambling revenue to hit record $6 bln this year
経済成長が鈍化する中で、比較的安定した税収をもたらすギャンブル収益は、政府にとって重要な財源の一つとなっています。
「オンラインギャンブル禁止になれば税収目標達成が必ず危ういことになるはずだ」
“In case online gambling ceases, there should be a (target) adjustment. Definitely, the target will not be achieved.”
フィリピン内国歳入庁長官、オンラインギャンブル収益の重要性を示す発言:Business Worldより
「オンラインギャンブルがPAGCORの主要な収入源になっている」
“Online gambling now PAGCOR’s top earner.”
ウィン・ガッチャリアン上院議員の発言:One News フェイスブックページより
一方、リベラル寄りのキコ・パンギリナン上院議員は、社会的コストを理由に規制強化や禁止の必要性も訴えており、議会内で収益とリスクのバランスが議論されています。
利益か、それとも国民のリスクか。
これらをうまくバランスを取る必要性にフィリピンは迫られています。
フィリピンの経済成長の現状:鈍化が鮮明に
フィリピンの経済は2025年も成長を維持しているものの、成長ペースはやや鈍化しています。2025年1〜6月期には約5.4〜5.5%の成長を記録していましたが、第3四半期には4.0%にまで落ち込んでいます。これは2023年以来の低水準です。
政府支出の減速や投資回復の弱さ、インフラ事業の遅延により、財政運営への圧力は高まりつつあります。
参考:PH economic growth slows down to 4% in Q3 2025
引き続きプラス成長ではあるが、かつての6%台には届きにくい状況というのが今のコンセンサスなんです。

比較的安定した税収と外貨流入が見込めるオンラインカジノ産業の重要性は相対的に増しているのはこのため。
政府がPAGCORを通じて国営管理と規制強化を進める背景には、収益確保と社会的リスク抑制を同時に達成する必要性があります。
収益の裏側にある「依存症」問題
オンラインカジノの拡大は、同時にオンラインカジノの安全性や
ギャンブル依存症対策という課題も浮き彫りにしました。
現状は一体どうなっているのでしょうか?
現在行われている主な対策
- 本人確認(KYC)の厳格化
- 自己排除(セルフ・エクスクルージョン)制度
- 入金・ベット制限
- 広告表現の規制
オンカジを国家管理下で認める以上、社会的リスクへの対応は不可欠。
数年前までは至る所に高速道路の巨大広告、テレビコマーシャル、さまざまなネット上のプラットフォームで大々的に宣伝されていました。

前は電子ウォレットからオンカジのキャッシャーに直接リンクされていたが、現在は無効になっている。
国民への浸透率85%と高い GCash や 5千万人の利用者があるMaya といった電子ウォレットから、オンラインカジノへの直接アクセスが可能だった点も、フィリピンならではの特徴でした。
2025年8月16日まではオンカジに直接アクセスができていましたが、今は全面禁止されています。
これまで全く何の規制もなくやっていたのが、常識を遥かに超えた出来事に思えますが、フィリピンならではということなのかもしれません。
今後、求められる対策
- 国家主導の依存症対策プログラム
- 医療・相談機関との連携強化
- オンカジ収益の一部を依存症対策へ法定配分
- 利用者向けResponsible Gaming教育の義務化
まとめ:フィリピンのオンカジ政策はどこへ向かうのか
オンラインカジノを海外でやるという選択肢を考える上で、
フィリピンは「国営管理」「高い収益性」「規制強化の過渡期」
という、非常に特殊で示唆に富む事例だと言えるでしょう。
政府はPAGCORを通じて国営管理と規制強化を進め、税収や雇用といった経済的メリットを維持する一方で、依存症や社会的リスクへの対応も迫られています。
オンラインカジノは今、収益と規制のバランスが問われる重要な政策テーマとなっているのです。
皆さんは国営オンラインカジノについて、どう思いますか?
本記事は、PAGCORの公式資料、国際メディア(Reuters、BusinessWorld など)、およびフィリピン政府・議会関係者の発言をもとに、フィリピンのオンラインカジノ政策とその経済的背景を整理・解説しています。制度や規制は今後も変化する可能性があるため、最新情報の確認を前提に参考情報としてご活用ください。
