
2026年のデジタル環境において、暗号資産はすでに日本でも広く認知される存在となっています。しかしその一方で、「言葉として知っていること」と「実際に理解していること」の間には、依然として大きな隔たりがあるようです。1,000人を対象に実施したスクリーニング調査では、「暗号資産」という言葉を聞いたことはあるものの、意味はよく分からないと答えた人が45.3%にのぼりました。さらに、全体の約3分の2が、その仕組みについて十分に理解していないと感じています。
一方で、暗号資産の利用経験の者を対象に行った追跡調査では、実用性と商業性の両面で、デジタルエンターテインメントが現在の暗号資産にとって特に将来性のある分野の一つであることが明らかになりました。オンラインゲームやゲームプラットフォームは、暗号資産による決済との親和性が高い分野として認識されており、38%が「非常に適している」と回答しています。ゲームを楽しむ人々の間では、暗号資産は投機の対象にとどまらず、明確な用途を持つ実用的な選択肢として捉えられ始めていることが伺えます。本レポートでは、こうした調査結果をもとに、エンターテインメント分野が、暗号資産を「知っている言葉」から「日常的に使われる手段」へと変えていく機動力となっている理由を読み解きます。
目次
主な調査結果
- 日本では暗号資産という言葉自体は広く知られるようになっていますが、十分に理解されているとはいえません。「聞いたことはあるが、よく分からない」と答えた人は45.3%にのぼり、特に女性ではその割合が男性を大きく上回りました(68.5%、男性39.5%)。
- 男女差が最も大きく表れたのは、不安感に関する項目です。女性は男性に比べて、「仕組みが難しくて分かりにくい」と感じる割合が高く(45.0%、男性30.5%)、「詐欺やトラブルが心配」と答えた割合も高くなりました(56.1%、男性38.9%)。一方で、「特に不安はない」と答えた人は男性のほうが多く、女性のほぼ2倍となっています(13.7%、女性7.0%)。
- 暗号資産には依然としてイメージ面の課題があります。ポジティブな印象を持つ人は12.4%にとどまる一方、ネガティブな印象を持つ人は45.4%と大きく上回りました。特に「とても印象が悪い」と答えた割合は、女性のほうが男性より高くなっています(24.6%、男性17.4%)。
- 暗号資産の利用経験者の間では、ほぼ半数が暗号資産を決済手段としてすでに使用しています。45.2%が「支払い手段として使ったことがある」と答えており、特に「複数回利用したことがある」と答えた割合は女性のほうが男性より高くなりました(46.7%、男性20.7%)。
- 暗号資産の決済利用に可能性を感じる場面としては、日常的な買い物よりも、デジタル領域や越境利用が中心となっています。最も多かったのは「海外送金・国際決済」(31.0%)で、次いで「デジタルコンテンツの購入」(26.1%)、「サブスクリプションサービスの支払い」(25.3%)が続きました。
- 暗号資産決済に期待する利用シーンには、男女で違いも見られました。男性は「国際決済」との相性をより強く意識している一方(31.7%、女性23.5%)、女性は「オンラインプラットフォームやマーケットプレイス」での利用に適していると考える割合が大きく上回りました(35.3%、男性15.9%)。
- 実際の利用者ベースで見ると、暗号資産決済の現実的な広がり先として最も有力なのはエンターテインメント分野です。「オンラインゲーム」と「ゲーム系マーケットプレイス」がいずれも38%で最上位となり、次いで「デジタルコンテンツの購入」が35%で続きました。
- 追跡調査では、特に女性がデジタルエンターテインメント領域での暗号資産利用に前向きな傾向を示しました。「オンラインゲームが適している」と答えた割合は女性で81.8%、男性は32.6%、「デジタルコンテンツの購入が適している」と答えた割合は女性で63.6%、男性は31.5%でした。
- 暗号資産を決済に使う人の多くは、代替手段がないからではなく、自ら選んで利用しています。主な理由は「試してみたかったから」(40.0%)、「速くて便利だと思ったから」(36.4%)、「手数料が安いと期待したから」(32.7%)で、「他に使える支払い手段がなかったから」と答えた人は3.6%にとどまりました。
- 決済手段としての利用拡大を妨げている最大の壁は、技術面だけではなく意識面にもあります。暗号資産をあまり使わない理由として最も多かったのは、「投資のためのものという印象が強いから」(28.7%)でした。一方で、今後利用が広がるために必要だと考えられているのは、思想的な変化よりも実用面の改善です。具体的には、「手数料が安くなり、分かりやすくなること」(41.0%)、「利用できる場所が増えること」(38.0%)、「支払い手続きがより簡単になること」(34.0%)が挙げられました。
調査概要
日本国内における暗号資産の認知度や利用実態を把握するため、2026年初頭にFreeasyを活用した2回の調査を実施しました。
まず、スクリーニング調査は2026年2月20日に実施し、全国の15歳から99歳の男女1,000人を対象としました。この調査では、暗号資産に対する認知度、理解度、印象などについて、一般生活者全体の傾向を把握しました。
その後、スクリーニング調査の結果をもとに、暗号資産の利用経験がある100人を対象とした追跡調査を2026年3月6日に実施しました。追跡調査では、利用実態や利用場面、決済手段としての評価などについて、より詳しく分析しています。
これら2回の調査により、日本における暗号資産の一般的な認知状況と、実際の利用者による評価・利用実態の両面を明らかにしています。
調査結果
スクリーニング調査
Q1 「暗号資産(仮想通貨)」という言葉が何を指すか知っていますか?(SA)

男性(n=800)、女性(n=200)
「暗号資産(仮想通貨)」という言葉の認知は一定程度ある一方で、内容まで理解している人は多くありません。「よく知っており、意味も理解している」は10.6%、「ある程度知っている」は26.2%にとどまります。最も多いのは「聞いたことはあるが、意味はよく分からない」の45.3%で、言葉は知っていても理解が追いついていない層が大きいことが分かります。「聞いたこともない」も17.9%と、一定数います。
男女差では3点が目立ちます。男性は女性より「よく知っており、意味も理解している」が高く(11.9% vs. 5.5%)、「ある程度知っている」も高い結果です(29.9% vs. 11.5%)。一方で女性は男性より「聞いたことはあるが、意味はよく分からない」が高く(68.5% vs. 39.5%)、認知はあるものの理解に自信がない層が厚い傾向が見られます。
まとめ:「暗号資産」という言葉は広く知られているものの理解は限定的で、理解度の自己評価は男性の方が高く、女性は「聞いたことはあるがよく分からない」が多い結果でした。
Q2 暗号資産(仮想通貨)の仕組みについて、あなたはどの程度理解していると思いますか?(SA)

男性(n=334)、女性(n=34)
全体として、暗号資産の仕組みに対する理解の自信は低めです。「とても自信がある」は13.0%、「やや自信がある」は22.0%で、一定の自信がある人は合計で約35.0%にとどまります。最も多いのは「あまり自信がない」の49.7%で、「まったく自信がない」も15.2%です。つまり、約3分の2は自信がない側に寄っており、言葉の認知があっても仕組みの理解にはつながっていないことが分かります。
男女差では、統計的に有意な差が1点見られます。男性は女性より「やや自信がある」が高い結果でした(23.7% vs. 5.9%)。
まとめ:暗号資産の仕組みに自信がない人が多数派で、統計的に有意な差としては「男性の方が『やや自信がある』が多い」点が確認されました。
Q3 暗号資産(仮想通貨)に対する全体的な印象として、最も近いものをお選びください。(SA)

男性(n=650)、女性(n=171)
全体として、暗号資産に対する印象は「判断保留」と「警戒感」が中心です。最も多いのは「どちらともいえない」の42.1%で、強い評価を決めきれていない人が多いことが分かります。「やや悪い」が26.6%、「とても悪い」が18.9%で、合計すると45.4%がネガティブ寄りです。一方、ポジティブ寄りは「やや良い」8.2%と「とても良い」4.3%の合計12.4%にとどまります。全体像としては、好意的な見方よりも、中立〜否定的な見方が優勢です。
男女差では、統計的に有意な差が2点見られます。男性は女性より「やや良い」が多い結果でした(9.2% vs. 4.1%)。一方で女性は男性より「とても悪い」が多く(24.6% vs. 17.4%)、強い否定的印象を持つ割合が高い傾向が見られます。
まとめ:暗号資産への印象は中立〜否定的が中心で、男性の方がやや好意的、女性の方が強い否定的評価が多い点が確認されました。
Q4 5年前と比べて、あなたの暗号資産(仮想通貨)への関心はどのように変化しましたか?(SA)

男性(n=650)、女性(n=171)
全体として、暗号資産への関心はこの5年で大きくは動いていません。「あまり変わらない」が67.4%と多数派で、多くの人は関心度が横ばいであることが分かります。関心が高まった人は「大きく高まった」6.3%と「少し高まった」14.7%の合計21.1%で、増加は一部にとどまります。一方、「低下した」も11.6%あり、関心が下がった層も一定数存在します。全体の傾向としては、関心は横ばいが中心で、増加は限定的です。
男女差では、目立った差が1点見られます。男性は女性より「大きく高まった」が多い結果でした(7.4% vs. 2.3%)。
まとめ:暗号資産への関心は横ばいが中心で、「男性の方が『大きく高まった』が多い」点が確認されました。
Q5 暗号資産(仮想通貨)について不安な点がある場合、特に当てはまるものをすべてお選びください。(MA)

男性(n=650)、女性(n=171)
この設問は複数回答のため、割合は「その不安を挙げた人の比率」を示し、合計は100%を超えます。不安の中心は実務的なリスクで、「価格変動が大きい」(48.7%)、「セキュリティ面やハッキングのリスク」(45.4%)、「詐欺・トラブルの不安」(42.5%)が上位を占めています。また、「ルールや規制が十分でない」(32.2%)や「仕組みが難しく理解しづらい」(33.5%)も約3割で、制度面と理解面のハードルも目立ちます。「特に不安はない」は12.3%にとどまり、多くの人が何らかの不安を抱えている状況です。
男女差では、3点が目立っています。女性は男性より「詐欺・トラブルの不安」が高く(56.1% vs. 38.9%)、「仕組みが難しく理解しづらい」も高い結果です(45.0% vs. 30.5%)。一方で男性は女性より「特に不安はない」が高く(13.7% vs. 7.0%)、不安を感じにくい層が相対的に多い傾向が見られます。
まとめ:不安の中心は「価格変動・セキュリティ・詐欺」で、女性が詐欺不安と難しさを挙げやすく、男性は「特に不安はない」が多い点が確認されました。
Q6 暗号資産(仮想通貨)について、あなたの経験として最も近いものをお選びください。(SA)

男性(n=334)、女性(n=34)
全体として、「経験はまったくない」が57.9%で最も多く、暗号資産の利用経験はまだ一般的とは言えません。一方で「現在利用している」も22.8%あり、この設問の対象者の中には一定の現役利用者が存在します。「過去にしばらく利用していたことがある」が10.3%、「試してみたがほとんど利用せずにやめた」が9.0%で、試した経験はあるが継続しなかった層も一定数います。全体像としては、未経験者が多数派である一方、現役・過去利用者も無視できない割合を占めています。
男女差では、男性は女性より「経験はまったくない」がわずかに高い結果でした(58.1% vs. 55.9%)。
まとめ:暗号資産は未経験者が多数派で、「男性の方が未経験者がわずかに多い」点が確認されました。
Q7 投資目的ではなく、支払い手段として暗号資産(仮想通貨)を利用したことはありますか?(SA)

男性(n=140)、女性(n=15)
「支払い手段として暗号資産を使った経験がある人」と「未経験の人」がほぼ二分されています。「何回もある」が23.2%、「1〜2回ある」が21.9%で、合計45.2%が支払い目的で利用した経験があります。一方で「ないが興味はある」が26.5%、「なく興味もない」が25.2%で、未経験者も同程度の割合を占めています。「支払いに使えることを知らなかった」は3.2%にとどまり、少なくとも“支払いに使える可能性がある”という認知自体は比較的広い層に共有されていることが分かります。
男女差では、女性は男性より「何回もある」が多い結果でした(46.7% vs. 20.7%)。
まとめ:支払い目的で暗号資産を使った経験者は約半数で、女性の方が「何回もある」が多い点が確認されました。
Q8 暗号資産(仮想通貨)による支払いが役立つと思うものはありますか?当てはまるものすべてお選びください。(MA)

男性(n=334)、女性(n=34)
この設問は複数回答のため、割合は「各選択肢を選んだ人の比率」を示し、合計は100%を超えます。最も多いのは「支払いには役立たないと思う」の43.8%で、支払い手段としての有用性に懐疑的な人が多い結果です。一方で、役立つ場面としては「海外送金・国際的な支払い」(31.0%)が最も多く、次いで「デジタルコンテンツの購入」(26.1%)、「オンラインサービスやサブスクの支払い」(25.3%)が続きます。「オンラインプラットフォームやマーケットプレイスでの支払い」は17.7%と相対的に低めです。全体として、有用性があると考える場合でも、国際決済やデジタル領域に寄っていることが分かります。
男女差では、男性は女性より「海外送金・国際的な支払い」を選ぶ割合が高い結果でした(31.7% vs. 23.5%)。一方で女性は男性より「オンラインプラットフォーム、マーケットプレイスでの支払い」を選ぶ割合が高い結果です(35.3% vs. 15.9%)。
まとめ:支払い用途としては懐疑的な人が多い一方、可能性を感じる場面は国際決済やデジタル領域に集中しており、男性は国際決済、女性はマーケットプレイスでの支払いを挙げやすい傾向が見られました。
Q9 キャッシュレス決済アプリ(PayPay、LINE Pay など)と比べて、暗号資産(仮想通貨)での支払いはどの程度便利だと思いますか。(SA)

男性(n=334)、女性(n=34)
「便利さ」の評価は割れており、「わからない」も多い結果です。「便利」(かなり便利+やや便利)は22.0%(10.1%+12.0%)にとどまる一方、「便利ではない」(あまり便利ではない+まったく便利ではない)は42.1%(22.6%+19.6%)で、否定的な評価が優勢です。「同じくらい便利」は14.7%で、一定数はキャッシュレス決済アプリと同程度と見ています。また「わからない」が21.2%と高く、便利さを判断できるほどの経験やイメージがない人が少なくないことがうかがえます。
男女差では、女性は男性より「かなり便利」を選ぶ割合が高い結果でした(26.5% vs. 8.4%)。これは、女性の一部に暗号資産での支払いを「非常に使いやすい」と感じている層が存在することを示しています。
まとめ:暗号資産での支払いは「便利ではない」または「判断できない」という人が多い一方、女性の方が「かなり便利」と感じる割合が高い点が確認されました。
Q10 オンラインでの定期的な支払いにおいて、キャッシュレス決済アプリ(PayPay、LINE Pay など)の代わりに暗号資産の使用を検討したことはありますか?(SA)

男性(n=334)、女性(n=34)
オンラインの定期的な支払いに暗号資産を使うことは、まだ多くの人にとって一般的な選択肢ではないことが明らかになりました。「一度も検討したことがない」が62.0%と最も多く、キャッシュレス決済アプリの代替として暗号資産を想定していない人が多数派です。一方で「実際に使用している」が14.4%、「過去に使用したことがある」が10.6%で、合計25.0%は使用経験があることになります。「考えたことはあるが、使っていない」も13.0%あり、関心はあるが行動に移していない層も一定数います。全体像としては、未検討が中心でありつつ、少数ながら利用経験者も存在します。
男女差では、男性は女性より「一度も検討したことがない」が高い結果でした(63.2% vs. 50.0%)。
まとめ:暗号資産を定期支払いに使うことは未検討の人が多数派で、男性の方が「未検討」が多い点が確認されました。
フォローアップ調査
Q1 以前のアンケートで「暗号資産(仮想通貨)を現在利用している、または過去に利用したことがある」と答えた方にお聞きします。 暗号資産(仮想通貨)で実際に支払いをしたことがあるオンラインサービスはどれですか?(MA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データを見ると、暗号資産によるオンライン決済の実利用はまだ限定的であり、「いずれのオンラインサービスでも暗号資産で支払ったことはない」と回答した人が45/100(45.0%)と最も多くなりました。
実際に利用経験があるサービスでは、「オンラインショッピング(EC)」が33/100(33.0%)で最多となり、次いで「オンラインサービス、サブスクリプション(例:SaaS、会員制サービス)」が27/100(27.0%)でした。「デジタル商品(例:ソフトウェア、ギフトカード)」は16/100(16.0%)、「旅行予約(例:航空券、ホテル、交通)」と「フードデリバリー、飲食店」はそれぞれ13/100(13.0%)でした。
全体として、暗号資産決済の利用先は一部の実用的なオンラインサービスに集中している一方で、暗号資産の利用経験があっても実際の支払い経験までは至っていない人が多いことがうかがえます。
男女差
統計的に有意な男女差が1項目で確認されました。「その他のオンラインサービス」は女性のほうが多く、女性は4/11(36.4%)、男性は5/89(5.6%)でした(Fisherの正確確率検定、p ≈ 0.0078)。
Q2 Q1の支払いに従来の支払い方法ではなく暗号資産(仮想通貨)を選んだ理由をすべて選んでください。(MA)

55人(男性(n=47)、女性(n=8))
データからは、回答者が従来の支払い方法ではなく暗号資産を選んだ主な理由が、関心の高さと実用的なメリットの両方にあることがうかがえます。
最も多かった理由は「暗号資産を試してみたかった」(22/55=40.0%)で、次いで「早い・便利だと思った」(20/55=36.4%)、「手数料が安いと思った」(18/55=32.7%)、「海外への支払いがしやすいと思った」(16/55=29.1%)が続きました。
「プライバシーを重視した」は10/55(18.2%)、「割引や特典、キャンペーンがあった」は9/55(16.4%)で、いずれも上位理由よりは限定的でした。
一方で、「そのサービスが暗号資産にしか対応していなかった」は2/55(3.6%)にとどまっており、多くの場合、暗号資産はやむを得ずではなく、意図的に選ばれていたことがわかります。
Q3 暗号資産(仮想通貨)をデジタルエンタメ用途で使ったことがありますか?あなたの状況に一番近いものを選んでください。(SA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データを見ると、暗号資産をデジタルエンタメ用途で利用した経験は広く定着しているというより、まだばらつきのある段階にあることがわかります。
最も多かったのは「複数回ある」と「デジタルエンタメに使えることを知らなかった」で、いずれも28/100(28.0%)でした。
また、「使ったことはないが興味はある」は18/100(18.0%)、「使ったことはなく興味もない」は15/100(15.0%)でした。
「1〜2回ある」は11/100(11.0%)にとどまっており、暗号資産のデジタルエンタメ利用は認知自体がまだ十分に広がっておらず、普及も初期段階にあることがうかがえます。
Q4 暗号資産(仮想通貨)による支払いが適していると思うデジタルエンタメの種類をすべて選んでください。(MA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データからは、回答者が暗号資産による支払いを、双方向性が高くデジタル完結型のエンタメ分野で特に適していると考えていることがわかります。
最も多かったのは「オンラインゲーム(ゲーム内課金)」と「ゲームのプラットフォーム/マーケット(アイテムの売買など)」で、いずれも38/100(38.0%)でした。
次いで「デジタルコンテンツ購入(電子書籍、動画、音楽ダウンロードなど)」が35/100(35.0%)、「配信サービス(動画/音楽のサブスク)」が27/100(27.0%)でした。
「オンラインコミュニティ/ファン会員(クリエイター支援など)」は21/100(21.0%)、「オンラインイベント(配信イベント、チケットなど)」は14/100(14.0%)でした。
一方で、「デジタルエンタメの支払いには適していないと思う」は10/100(10.0%)にとどまっており、全体としては否定的というより、用途を選びながら受け入れている姿勢がうかがえます。
男女差
目立った男女差が2点確認されました。「オンラインゲーム(ゲーム内課金)」は女性のほうが多く、女性は9/11(81.8%)、男性は29/89(32.6%)でした(Fisherの正確確率検定、p ≈ 0.0024)。また、「デジタルコンテンツ購入(電子書籍、動画、音楽ダウンロードなど)」も女性のほうが多く、女性は7/11(63.6%)、男性は28/89(31.5%)でした(Fisherの正確確率検定、p ≈ 0.0468)。
Q5 投資以外の目的で、暗号資産(仮想通貨)を支払いに使う頻度はどれくらいですか?(SA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データを見ると、投資以外の目的で暗号資産を支払いに使う頻度は、全体としてまだそれほど高くないことがわかります。
最も多かったのは「ほとんど、あるいはまったく使用していない」で46/100(46.0%)となり、次いで「月に2〜3回」が23/100(23.0%)、「月に1回程度」が15/100(15.0%)でした。
より高頻度での利用は少なく、「週に1回以上」は13/100(13.0%)、「年に数回」は3/100(3.0%)にとどまりました。
全体として、一部には継続的に支払いへ活用している層もいるものの、投資以外での暗号資産決済はまだ日常的に広く定着しているとは言いにくい状況です。
Q6 暗号資産(仮想通貨)を支払いにもっと頻繁に使わない主な理由として、最も近いものを1つ選んでください。(SA)

87人(男性(n=79)、女性(n=8))
データからは、暗号資産を支払いにもっと頻繁に使わない最大の理由として、多くの回答者が暗号資産を決済手段というより投資手段として捉えていることがうかがえます。
最も多かった回答は「支払いより投資目的で使っている」(25/87=28.7%)で、次いで「価格変動が大きく支払いに使いにくい」(15/87=17.2%)、「特にない」(14/87=16.1%)が続きました。
このほか、「手続きが複雑(ウォレット、アドレスなど)」(10/87=11.5%)や「対応している店舗・サービスが少ない」(8/87=9.2%)も一定数見られました。
全体としては、ひとつの技術的な課題が大きな障壁になっているというより、投資目的での利用、価格変動への不安、そして日常的な決済手段としてまだ十分に定着していないことが、利用頻度を抑えていると考えられます。
Q7 暗号資産(仮想通貨)で支払う際、主にどの方法を利用しますか?(SA)

54人(男性(n=48)、女性(n=6))
データを見ると、暗号資産で支払う際に利用される方法は主に3つに集まっています。
最も多かったのは「取引所・アプリの決済機能による支払い」で18/54(33.3%)、次いで「暗号資産連動カード(デビット・クレジット)による支払い」が16/54(29.6%)、「自分のウォレットから直接送金による支払い」が15/54(27.8%)でした。
「QRコード決済による支払い」は5/54(9.3%)にとどまりました。
全体として、暗号資産による支払いは、より使いやすく整理された手段を通じて行われる傾向が強いことがうかがえます。
男女差
「自分のウォレットから直接送金による支払い」は女性のほうが多く、女性は4/6(66.7%)、男性は11/48(22.9%)でした(Fisherの正確確率検定、p ≈ 0.0439)。
Q8 直近の暗号資産(仮想通貨)決済(支払い)の金額は、おおよそいくらでしたか?(SA)

54人(男性(n=48)、女性(n=6))
データを見ると、直近の暗号資産決済額は、少額または高額に偏るのではなく、中間帯に集中していることがわかります。
最も多かったのは「5,000〜10,000円未満」で21/54(38.9%)となり、次いで「1,000〜5,000円未満」が17/54(31.5%)でした。
より高額な決済は相対的に少なく、「10,000〜30,000円未満」は5/54(9.3%)、「30,000円以上」は6/54(11.1%)でした。
一方で、「1,000円未満」は4/54(7.4%)にとどまっており、全体としては、ごく少額の日常的な支払いよりも、一定額以上の中程度の決済に暗号資産が使われる傾向がうかがえます。
Q9 今後12か月間で、暗号資産(仮想通貨)を支払いに使う度合いはどう変化すると思いますか?(SA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データからは、今後12か月間の暗号資産決済の利用見通しは一方向に伸びるというより、維持と非利用が増加見通しを上回る構図になっていることがわかります。
最も多かったのは「引き続き利用する予定はない」で34/100(34.0%)となり、次いで「同じ度合いで利用し続ける」が30/100(30.0%)でした。一方で、「やや増える」は20/100(20.0%)、「大幅に増える」は15/100(15.0%)で、あわせて35.0%が何らかの増加を見込んでいます。「減る」は1/100(1.0%)にとどまりました。
全体としては、今後の利用拡大を見込む層が一定数存在する一方で、利用を継続しない層や現状維持を想定する層も大きく、暗号資産決済の普及にはなお伸びしろと課題の両方があることがうかがえます。
Q10 暗号資産(仮想通貨)を支払いにもっと使うようになるために、後押しになると思う要素をすべて選んでください。(MA)

100人(男性(n=89)、女性(n=11))
データからは、暗号資産を支払いでもっと使うようになるための最大の後押しは、手数料の引き下げと予測しやすさ、そして利用できる店舗・サービスの拡大であることがわかります。
最も多かったのは「手数料が安くなる、予測しやすくなる」で41/100(41.0%)となり、次いで「対応する店舗・サービスが増える」が38/100(38.0%)、「支払い手順がもっと簡単になる(使いやすいUIなど)」が34/100(34.0%)でした。
これに続く要素としては、「セキュリティが強化され、詐欺対策が進む」が23/100(23.0%)、「価格が安定する(変動が小さくなる)」が22/100(22.0%)、「消費者保護や規制が明確になる」が21/100(21.0%)でした。
全体として、暗号資産決済の利用拡大には、新しさや話題性よりも、より安く、より簡単で、より安定し、より多くの場面で使えるようになることが重要であると考えられます。
まとめ
日本において、暗号資産がまだ日常的な決済手段として広く定着している段階には至っていないものの、今回の調査結果からは、デジタルに親和性の高いユーザー層とエンターテインメント分野との間に強い相性があることがうかがえます。暗号資産は、多くの人にとって単なる投資対象にとどまらず、明確な用途を持つ実用的な決済手段として捉えられ始めています。
今後の成長余地が特に大きい分野の一つとして浮かび上がったのが、デジタルエンターテインメントです。実際に、「オンラインゲーム」および「ゲーム系マーケットプレイス」は、暗号資産による決済に最も適したカテゴリーとして、いずれも38%に選ばれました。さらに、利用経験者のうち28%は、デジタルエンターテインメント関連の支払いに暗号資産を複数回利用したことがあると回答しており、この分野ではすでに商業的な利用が進み始めていることが分かります。
この傾向をよく表しているの娯楽分野の1つが、オンラインカジノ業界かもしれません。本サイトでも特集をしている通り、仮想通貨での支払いが可能なゲームが多数あり、業界全体でみても仮想通貨利用ゲームの存在感は年々高まってきており、今後の成長もみられるでしょう。
利用者が暗号資産に魅力を感じる主な理由は、スピード感、利便性、そして手数料の低さです。必要に迫られて使われるケースは少なく、むしろ効率的でデジタル中心の体験を求める人々にとって、自ら選ぶ決済手段となっています。今後、より幅広い普及を実現するためには、決済手続きの簡素化と、手数料の分かりやすさ・安定性の確保が重要になります。こうした実務面での課題が解消されていけば、デジタルエンターテインメントやゲーム分野が、暗号資産を投機的な資産から標準的な決済手段へと移行させる牽引役となっていくことが期待されます。
